研究概要 |
1.分光エリプソメトリによるMOVPEのその場観察 ー界面急峻性の向上:前年度に開発した,分光エリプソメトリを用いた有機金属気相エピタキシ(MOVPE)のその場観察技術を応用して,1〜3分子層の厚さを有するInGaAs/InP量子井戸を作製し,それをCTR法によって評価したところ,従来のどの報告例より優れた信号が得られ,界面は実際に単分子層オーダの急峻性を有することが示された.2.流れ方向成長速度/膜質分布の解析とそれを応用した成長条件の最適化:InPおよびGaAsの原料ガス流れ方向の成長速度分布,膜質分布を,特別に作製したサセプタを用いて実験的に調べ,その結果と前年度に開発された成長シミュレータによる結果とを比較考察した.これを基に,高温時に発生する表面荒れのメカニズムを特定し,表面荒れを回避する成長条件を論理的に決定することに成功した.3.有機金属気相拡散選択エピタキシーによる多モード干渉カプラの試作:前年度に開発した有機金属気相拡散選択エピタキシー(metal-organic vapor phase diffusion enhanced selective area epitaxy,MOVE)は,導波路アレイを作製することのできる世界で唯一の選択成長技術である.この特徴を利用して,1×2多モード干渉(multiple mode interference,MMI)合/分波器を,選択成長によって世界で初めて試作,実現した.4.有機金属気相拡散選択エピタキシー技術を用いた光アンプゲートスイッチ集積回路の試作:さらに上記MOVEによる能動/受動集積を適用して,光交換で必要とされる光アンプゲートスイッチ集積回路を世界で初めて試作し,その動作を確認した.
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