研究概要 |
1.2本のGeO_2 ドープ単一モードファイバからパーソナルコンピュータで延伸及び熱融着を制御して熱融着テ-パ型光ファイバカップラーを作製する。このカップラーの中央部分はくびれて双円錐状になっているので、小さな階段状に分割したものの従属接続として結合モード理論を適用し、線形及び非線形結合特性を解析した。コア及びクラッドの半径、屈折率及び非線形屈折率(n_2)などの光ファイバパラメータ、規格化カップラー長、最小クラッド半径、融着度などのカップラーパラメータを与えて、波長λ=0.6〜1.5μmの範囲でスルーポート側の規格化出射パワーを求めた。カップラー長を長くすると急激にパワーの結合が生ずる波長域が短波長側にシフトするだけでなく、波長選択結合特性も変化することがわかった。入射パワー制御型光フィルター特性を実験により確認するため、フェムト秒Ti:サファイアレーザから超短光パルス(パルス幅54fs、∪.7MHz)を光ファイバカプラーに入射した。波長λ=0.82〜0.86μm,0.84μm〜0.92μmの範囲でピークパワー10kWまで変化したときの出射パワーを求めた。数値解析から得られた急峻な波長選択結合特性は観測されなかったが、入射パワーを増加するとスルーポートと結合ポート側の出射パワーが入れ換わるスイッチング特性は観測された。しかし、スイッチング特性の変化の幅は小さく、光ファイバカップラーを伝搬するフェムト秒超短パルスの群速度分散による広がりが原因であることが分かった。 2.ピークパワーがワット以上の高出力パルスを光ファイバに入射させると、出射パルスのスペクトルが数100nmまで広がる現象はsupercontinuum(SC)として知られている。このSC発生のために、ファイバの長手方向に特性変化するファイバや波長分散特性が変化するファイバ等が開発され研究されている。又、パルス圧縮のために長手方向に特性変化するファイバを用いて高次ソリトンを発生する方法が提案された。これらの既存の技術を利用することにより、伝搬方向に分散値が異常分散から正常分散まで変化する分散変化ファイバ、或いは非線形屈折率/モードフィールド径(n_2/A_<eff>)が伝搬方向で変動する特性変化ファイバについて超短光パルスのスペクトル広がりを計算した。一例として、コア径4μmの石英系単一モードファイバを用いて、入射波長1.55μm、パルス幅3.5ps、ピークパワー1.5Wの光パルスを入射したとき、(1)高次ソリトン化によるパルス圧縮効果の検討、(2)SC発生の検討を行った。その他に、群速度分散(GVD)及び非線形屈折率(n_2)の変動が光ソリトン伝搬に及ぼす影響についても考察し、それから光パルス幅の広がり及びスペクトル幅との関連等について検討する予定である。
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