研究概要 |
1.変形ポテンシャル5段階非対称結合量子井戸(FACQW)の提案と解析:吸収端のレッドシフトを伴わず,低電界で大きな屈折率変化をもたらす新たな標記の量子井戸構造を見い出した.また,これを歪み量子井戸化することにより,偏光依存性を低減できることも明らかにした. 2.FACQWマッハツェンダー干渉計型光スイッチの試作:GaAlAs/GaAs系のFACQWを、分子線エピタキシ-(MBE)により成長し,2×2多モード干渉(MMI)カプラ二つの間に位相変調導波路を狭んだ構成のマッハツェンダー干渉計に加工して,2×2の光スイッチデバイスとした.試作素子において,吸収端から数十nm離れても十分な屈折率変化が現れ、光スイッチ動作が可能であることが実証された. 3.進行波型量子井戸超高速光変調器:上記FACQWを,進行波型マッハツェンダー干渉計に加工し,光変調器を作製したところ,従来の量子井戸に基づく素子に比べ,変調電圧が数分の一に減少することが明らかになり,FACQWにおいて大きな屈折率変化の得られるという理論予測が実証された.さらに,素子の短縮化と変調マイクロ波/光波間の速度整合の結果,50GHzを超える変調周波数帯域を,同種の素子で初めて達成した. 4.変形ポテンシャル量子井戸による偏光無依存化と負チャープ化:長波長1.55μm帯でも動作する,シンプルな偏光無依存変形ポテンシャル構造を新たに提案,解析した.また,電界吸収変調器で,全ての動作電圧領域で負チャープを与える変形ポテンシャル量子井戸構造も提案した.現在,これらを実験的に検証せんとしている.
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