研究課題/領域番号 |
09450029
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
多田 邦雄 横浜国立大学, 工学部, 教授 (00010710)
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研究分担者 |
荒川 太郎 横浜国立大学, 工学部, 助手 (40293170)
霜垣 幸浩 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (60192613)
中野 義昭 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (50183885)
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キーワード | 光制御デバイス / 光変調器 / 光スイッチ / 量子井戸 / 変調ポテンシャル量子井戸 / ポテンシャル制御量子井戸 / 進行波型光変調器 / InPドライエッチング |
研究概要 |
1. 超高速・低電圧光変調デバイスの実現:吸収端よりも十分に長波長側の透明波長域で大きな電界誘起屈折率変化を得ることができる5層非対称結合量子井戸(FACQW)を応用して、これを20層積層した多重量子井戸層を光導波層に用い、アーム長2mmのマッハツェンダー干渉計型光変調デバイスに加工し、進行波型電極を形成した。これは世界最初の進行波型多重量子井戸光変調デバイスであるだけでなく、変調遮断周波数55GHz、スイッチング電圧3Vという超高速・低電圧特性値が実測され、従来の他の半導体光変調デバイスで報告されていた記録を更新した。 2. 5層非対称結合量子井戸の解析と改良:FACQWでの電界誘起屈折率変化△nは、上記実験から矩形ポテンシャル量子井戸における△nの3倍程度であることが判明したが、理論値よりは約1桁小さいと推定された。この差の原因を解明し差を縮めていくことは、今後の大きな課題であるが、その第一歩として、5層各層の層厚変動の影響についてシュミレーション解析を行った。その結果、中央部の三つの薄い層(二つの障壁層と一つの井戸層)の厚さの変動の影響よりも、むしろ両端部の二つの厚い井戸層の厚さの変動の影響の方が大きく、厚さが1モノレイヤー変動しても△nが数分の1に低下する場合が生じ得ることが判明した。併せて、△nをより大きくできる、あるいは△nの線形性を増大できる二、三の新しい量子井戸構造を見出した。 3. 長波長帯用光制御デバイス作製法の研究:長波長帯用変形ポテンシャル量子マイクロ構造光制御デバイスの作製のための分子線エピキタシー装置の整備を進めると共に、メタン・水素/酸素交互供給によるInPのECR-RIBEエッチングについて研究し、良好な表面平滑性と端面垂直性を得るためのプロセス条件を確立した。
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