研究課題/領域番号 |
09450038
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物理学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永山 邦仁 九州大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20040446)
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研究分担者 |
波多野 祥子 九州大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70260718)
森 保仁 九州大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80243898)
高橋 厚史 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10243924)
吉武 剛 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (40284541)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 高分子 / 衝撃波 / 応力緩和 / ポリエチレン / 結晶化度 / ウゴニオ / 光学計測法 |
研究概要 |
本研究についてまとめると以下のようである。まず、高分子材料のウゴニオ計測法を確立した。これまでに自由表面速度の連続測定を実現する光学計測法と,PVDFゲージによる応力波形とともにウゴニオ値を求める計測法を確立して、結晶化度の異なる2種類のポリエチレン試料のウゴニオを計測した。その結果、2試料ともウゴニオ曲線に折れ曲がりがあること、その点は粒子速度にして150m/s程度の点であること、その折れ曲がり点近傍でウゴニオデータがややばらついていることを明らかにした。次に、この結果が衝撃波が定常ではないためではないかと考え、そのことを確かめる衝撃波面伝播速度の履歴を連続的に計測する方法を工夫した。まず、比較のためにPMMA試料について調べた結果、この物質は伝播速度が定常であることがわかった。これに対して、ポリエチレン試料では、比較的高速の衝突条件(500m/s)ではほぼ定常であるが、それより低速の衝突条件では衝撃波伝播速度は減衰していることがわかった。特に、ウゴニオの折れ曲がり点である150m/s付近での減衰が最も大きいことがわかった。すなわち、この圧力領域で特に応力緩和によるエネルギー吸収(変換)が生じていることが明らかになった。この減衰特性は、結晶度のことなるポリエチレン試料について異なる減衰を持つことを本研究ではじめて明らかにした。また、衝撃波伝播速度が伝播にともなって変化してゆくことは衝撃波ウゴニオを単純な保存方程式だけで表現し、物質固有の圧縮曲線とみなすことはできない例をはじめて発見したものと考えている。この現象は、大きな緩和構造を持つ高分子試料であるからこそ大きな効果を持つ。また、ウゴニオの持つ折れ曲がりの持つ意味を高分子のグリュンアイゼン係数を計算することにより求めた。その結果、折れ曲がり点までの低応力域では、実効的グリュンアイゼン係数が非常に大きい(3〜4)であるのに対し、折れ曲がり後は0.1程度の小さな値になること、このことは、低応力域では熱的に非平衡状態にあることを示唆した。すなわち、この応力域の衝撃波では分子間振動モードだけが選択的に励起させることを結論した。
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