研究概要 |
実装基板の繰り返しそり変形によるボールグリッドアレイ・パッケージ(以下省略してBGA)はんだ接合部の疲労強度評価に関する研究は現在までほとんど見あたらない。そこで本研究では,実装基板に繰り返しそり変形を与えてBGAはんだ接合部の機械的疲労試験を行うとともに,有限要素法を用いて応力・ひずみ解析を行い,BGAはんだ接合部の疲労強度評価を検討した。その結果,相当塑性ひずみが最も集中するはんだ表面の点から50μm内部の点の相当塑性ひずみ範囲をパラメータとして,Coffin-Manson則を用いて良好に評価できることを示し,その疲労強度評価式を決定した。 また,台形波の繰り返し温度サイクルを受けるBGAはんだ接合部について、有限要素法によりはんだ接合部の3次元及び2次元応力・ひずみ解析を行うとともに、現在提案されている異なる強度評価式を用いて強度評価を行い,それらの結果を比較,検討した。その結果,(1)2次元近似の方法としては平面ひずみ近似が適当であること,(2)3次元解析,2次元解析ともに要素分割の粗さにより強度評価結果は大きく異なる。従って,応力・ひずみ解析を行う場合,要素分割を一定にする必要があること(3)今回用いた疲労強度評価式に限っては,Coffin-Manson則に比較して修正Coffin-Manson則は非安全側の評価を与える。一方,Strain-Range Partitioning法及びStrain-Energy Partitioning法を用いた場合,非常に厳しい評価となること,などの結果を得た。 さらに,微細はんだ接合試験片を作成し,機械的疲労試験及び寿命測定を行った。
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