研究概要 |
Sn-Pb共晶はんだを用いたせん断型接合試験片を作成し,計算上,クリープひずみしか生じない非常に遅いひずみ速度で機械的疲労試験を行うとともに,有限要素法を用いて応力ひずみ解析を行い,この疲労寿命試験結果とICパッケージはんだ接合部の温度サイクル疲労寿命試験結果を比較した。その結果,両者のCoffin-Mansonプロットはほぼ同一直線上にあることがわかった。この結果から,温度サイクル試験の代わりに非常に遅いひずみ速度の機械的疲労試験を使用することが妥当であることを示した。 また,台形波の繰り返し温度サイクルを受けるBall Grid Arrayパッケージはんだ接合部の熱疲労寿命予測に伴う有限要素解析において,使用要素(線形要素と2次要素),要素分割の粗さ,はんだのぬれの有無によるはんだバンプ形状の違いが有限要素解析結果および熱疲労寿命予測結果に及ぼす影響について調べた。その結果,次のことが分かった。(1)使用要素および要素分割によってはんだ表面の最大相当非弾性ひずみ範囲の値は大きく異なるが,はんだ表面から30μm以上内側の領域では相当非弾性のひずみ範囲はほぼ一致する。従って30μm以上内側の領域で寿命予測することが望ましい。(2)はんだのぬれの有無により相当非弾性ひずみ範囲は大きく異なる。 さらに,環境問題の観点から注目されている鉛を含まないはんだを用いたせん断型接合試験片を作成し,機械的疲労試験を行った。
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