本研究ではSn-Pb共晶はんだの薄肉円筒試験片を用いて、繰り返し速度0.001〜5.0Hz(5種類)、雰囲気温度303〜333K(3種類)の条件下でねじり疲労試験(回転角制御)を行うとともに、同じ雰囲気温度でクリープ試験を行った。これらの結果から、はんだ材料の高音または低速域での疲労には、クリープ特性と類似の特性があることに着目し、換算クリープ速度および換算破断時間の概念を導入し、新しい疲労寿命評価法を得た。また方法の有用性について検討するため、実物大リード線はんだ接続部の疲労試験と3次元非弾性有限要素法解析を行い、はんだ接続部の疲労き裂発生寿命の推定の可能であることを示した。 また電子機器携帯移動時における実装基板繰り返しそり変形に起因するBGAはんだ接合部の強度信頼性評価に関する研究では、以前の研究を発展させて、実験におけるひずみ速度を考慮し、早いひずみ速度の応力-ひずみ特性を用いて3次元非弾性有限要素解析を行い、基板繰り返しそり変形による機械的疲労試験結果と比較し、はんだ接合部の疲労強度を評価した。その結果、BGAはんだ接合部破断時の疲労強度はCoffin-Manson則を用いて良好に評価できることを示し、さらに破断時の寿命はき裂発生時の寿命の約5倍であることから、はんだバルク材によるき裂発生寿命から簡便的に破断時の寿命を推定できることを示した。
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