研究概要 |
部品加工することによって,表面が形成されるが,それによって機能を表面に付与している.一般に,この加工された表面形状は,微視的には,ランダムにして複雑な凹凸形状の集合体であり,所期の表面機能を得るための表面形状設計を困難なものにしている.そこでここでは,形や大きさが既知の微細凹凸の一様分布した規準表面(マイクロテクスチャ)の形成技術の確立と,この規準表面と表面機能との相関を定量評価し,最適な表面機能が得られる機能表面設計を可能性把握を目的として,実験検討している.得られた結果は次の通り. [1]マイクロテクスチャ形成技術:サブミクロン領域におけるディンプルやグルーブの形成をこころみ,工具形状や加工荷重,加工速度,潤滑条件といった形成条件と,形成される曲率半径やバリ形状などの工具形状の転写性との相関について,実験解析により明らかにしている.それによれば,軟質金属ではほぼ排除された体積に等しいバリ体積が肩部に発生するのに対し,高硬度金属やガラスなどでは,バリ体積が小さいなど,広範な形状形成が可能なこと,また交差溝テクスチャや連続ディンプルなどの相互干渉条件を明らかにしている. [2]表面機能評価技術:高さが30〜40nmの円錐台形状のランドや,リング形状のバンプを分布させた規準マイクテクスチャのしゅう動テストによれば,降伏応力に比し著しく低くても繰り返し荷重がかかれば,疲労により陥没すること,しゅう動抵抗の安定した最適な分布が存在すること,また超微小間隙における低粘度流体のリークテストによれば,サブミクロン間隙であってもニュートン流体として取り扱えること,またマイクロテクスチャを施すことによって,リーク量が増すことなどを明らかにしている.
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