研究概要 |
加工によって,部品表面に機能を付与しているが,一般には,この加工面は,ランダムな微細凹凸形状を有し,統計量で表現される.このため,機能表面の最適設計を困難にしている.本研究では,既知の微細凹凸形状を一様に分布させたマイクロテクスチャ面の形成技術,およびこの技術により作られた表面の機能評価を行い,表面の微細凹凸形状と表面機能との相関を明らかにすることを目的として,実験解析している.これまでに,以下の点を明らかにしている. (1)バニシング工具を用いたサブミクロン溝形成:溝肩部のバリの大きさや溝底半径は,被加工材物性の影響を強く受け,被加工材質の適切な選択によって,これらの形状をコントロールできる.なおこれらは,溝形成時の走査速度や工具・被加工材間の摩擦力の影響をほとんど受けない. (2)圧子を用いたサブミクロンディンプルの形成:ディンプル肩部の形状は,圧子・被加工材間の摩擦の影響が著しい.また軟質金属の被加工材では,排除されたディンプルの体積がディンプル肩部のバリ体積にほぼ等しが,ガラスでは,ディンプル下部が高密度化したバリがほとんど形成されない. (3)フォトリソディスクテクスチャとCSS特性:φ3μmx(30〜40)nmのランドが無数に分布したフォトリソグラフィ工程でディスクを試作し,磁気ヘッドに対ししゅう動試験を行ったところ,しゅう動試験とともにディスク・ヘッド間の摩擦力が増大するが,ランド分布を最適化することにより,摩擦力の増加を抑制できる.また摩擦力の増加原因は,磁気ヘッドからの繰り返し荷重による疲労によりランド下部が陥没したことにあり,ガラス基板に比べ硬いガラス基板では,疲労し難く,しゅう動安定性が高い.
|