研究概要 |
微小電場による表面活性化現象を積極的に利用して微粉CBN砥石による超精密研削加工技術を確立するために,次の2段階の研究を遂行した。 (1)微小電場における表面活性化現象を利用した超精密くず生成機構の解明 研究の結果,微粉砥粒を用いた超精密研削加工においても,砥石作用面上の砥粒の通過軌跡つまり砥粒の切込み深さはゼロから次第に増加し,ある点で最大値をとったのち,再びゼロへ減少する機構は変化していないことが解明された。しかも,微小電場内の金属材料の表層部は活性化され,電場における活性化層深さは,負荷電圧すなわち電場深さによって変化するため,最大砥粒切込み深さを活性化層深さ内外で変化させた単粒研削を行い,砥粒切れ刃の上すべり現象,切りくず生成開始条件,単粒研削溝の形状,切りくず形態切削抵抗の変化を解析することによって微小電場中での切りくず生成機構を解明した。 (2)微小電場の表面活性化現象による超精密研削加工面創成機構の実験的・理論的研究 研究結果から,超精密研削加工における創成加工面は,砥石作用面に存在する砥粒一つひとつが生成する表面創成溝曲線の集合体として生成されるが,砥石作用面上での砥粒は3次元的に分布し,しかも砥粒支持剛性がそれぞれ変化しているので個々の最大切込み深さは一定ではないことが明らかとなった。この要因ならびに微小電場による表面活性化層深さは,電場強さに対応した一定値に固定されることのために,各々の砥粒が生成する表面創成曲線は複雑に変化しているものと予想される。砥石作用面のトポグラフィ及び表面活性化層深さと最大砥粒切込み深さによって決定される砥粒の表面創成曲線を組み合わせることにより微小電場における研削加工面創成機構の実験的・理論的解明を行った。
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