研究概要 |
MBE(分子線エピタキシ)による平面創成は,基板に付着した分子が表面拡散する過程において,基板上のポテンシャルエネルギの低い位置で捕捉され,同エネルギが均一になることで実現できるという考え方である.創成面は分子レベルでの平坦性が期待できるが,そのプロセスそのものが明確化されていないこともあり,具体的な応用ははかられていない.そこで,本研究では,Si-SiのMBEを具体的対象とし,その平面創成プロセスを明らかにすることを目的に,MBE装置に直結した分析チャンバを設備し,加工プロセスを離散的ではあるが,時間を追って観察することを行っている. 本年度はまず,超高真空対応で,創成面の幾何形状やその組成を解析する走査トンネル顕微鏡,原子間力顕微鏡やオージェ電子分光装置といった分析装置が装備可能な分析チャンバを製作した.現有のMBE装置に直結され,内部の残留ガスの成分や圧力を制御することで,周囲雰囲気の影響を含めて解析ができる.そこで,基板温度を一定にして,単結晶Si基板面方位を変えてMBEを行った場合について,原子間力顕微鏡によって大気圧環境下における形状解析を時間を追って行い,形状創成プロセスを観察した.その結果,面方位によって形状創成過程が異なっていることが明らかにできた.すなわち,(111)の場合には平坦な面が創成できるが,その他の(110)や(100)といった面では,3次元的な形状が創成される.また,それらの創成形状は各面に固有の形状をしており,基板の面方位に影響を受けた形状となっていることが明らかとなった.
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