研究概要 |
今年度行った結果は以下の通りである. (1) 動的腐食摩耗は表面に新生面が生じることにより,その腐食挙動(腐食速度)は,通常の静的な腐食挙動とは異なる.筆者らはSUS304鋼の電位急変法(PP怯)による分極曲線から新生面の腐食速度の同定を行ってきた.その結果は腐食摩耗量とPP法による腐食量の評価の一致をみた.その普遍性を検討するために,黄銅,アルミ,Zr合金を用いて検討した.その結果,黄銅の摩耗はPP法で評価できるが,アルミは材料が軟らかいため,機械的摩耗が大きく,腐食による割合は小さい. (2) 昨年度購入した原子吸光分光光度計による腐食摩耗による金属イオンの濃度解析を行った.使用した溶液はNa2SO4であり,SUS304鋼では鉄イオンと純銅では銅イオンについて検討した.結果は十分な精度でイオン濃度を同定できていない.試薬を作成するときの希釈等に問題があり,さらに検討を続けている. (3) 腐食摩耗試験の問題をさらに検討するために,フレッティング摩耗試験機を設計,製作した.一方向摩耗試験機を製作する予定であったが,科研費・国際共同研究「フレッティング摩耗の環境依存性」の研究と結びつけるため,往復すべりの極限であるフレッティング摩耗試験機を製作し,計測制御関係のソフトを構築中である. (4) これまでに行ったスクラッチ試験のデータを電気化学的な観点からまとめた.
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