研究概要 |
本年度は以下のことを実施した. [1]Zr合金(Zirukaloy-4)の腐食摩耗特性の評価 材料はZr合金に絞った.この合金はSUS304ステンレス鋼よりも耐食性のある材料であり,不動態被膜の形成が著しいために選択した.その中で、Na_2SO_4溶液で電位を制御しない腐食電位での摩耗特性,電位を制御した摩耗特性を求めた.またpHの影響、純水中での摩耗についても検討した. これらの結果から,以下のことが明かになった. 1)静的腐食環境下で耐食性を示す金属は,表面が常に摩擦を受けるような動的腐食環境ではそれを示さない. 2)動的腐食速度での新生面の腐食速度は電位急変法(PP法)による分極曲線でほぼ評価できる. 3)腐食摩耗においてZr合金の摩耗は機械的作用が主であり,腐食作用はその50%程度である. [2]フレッティング摩耗試験 ここでもZr合金を用い,摩耗による自然電位の変化,摩耗特性変化を検討した. [3]本研究の総括 腐食環境中における摩耗は機械的要因と電気化学的要因からなり,後者は動的腐食作用であり,静的腐食環境とは異なる.その特性は電位急変法で新生面の腐食速度をある程度評価で,その大きさは通常面の約100倍大きい.またSUS304鋼のように摩耗がほぼ電気化学的作用によるものと,Zr合金のように機械的な作用が大きいものとに分けられる.また新生面(アノードとなる)面積の評価が必要であり,摩耗形態に依存する.
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