研究概要 |
[曲率を有する拘束面に対応したハイブリッド制御則について] (l)従来の関節角速度に基づいた基本制御則を用いて,曲率を持つ拘束面における位置と力の制御を行い,速度ステップ応答の行き過ぎ量が大きい,手先等価コンプライアンスの変動および力伝達関数の遅れのために各応答が振動的になる,という2つの問題点を明らかにした. (2)弾性節の曲げ1次モードを関節座標サーボで制振することにより,上記の第1の問題点である手先速度のステップ応答に行き過ぎ量を,速応性を損なうことなく,大幅に改善できることを明らかにした. (3)目標拘束面作用力方向を力制御系の応答特性を考慮して補正する制御則を提案し,それによって各応答の劣化を軽減できることがわかった. [速応性に優れた位置と力の制御について] (1)位置制御則では,コリオリ・遠心力項および重力項を除いた曲げl次モード式,および手先速度と関節角速度およびたわみ角速度との関係式から,関節角速度から手先速度への伝達関数を算出し,これとコンフィギュレーション変化による応答特性の変動を軽減し,かつ有界な入力を得るために指令手先速度を平滑化変換したものから目標関節角速度を導出し,モータドライバヘの入力とすることにより,速応性に優れた速度応答特性を実現した. (2)力制御則では,従来の静的受動コンプライアンスから算出した力偏差の速度変換則を,曲げ1次モード式の慣性項を考慮して,動的受動コンプライアンスに対応した変換則に拡張した. (3)続いてこれらの制御則から求まる目標関節角速度が持続的に振動することを伝達関数の極配置から示し,制御系の安定性および省エネルギー化の観点から,各指令値から目標関節角速度への伝達関数内に振動抑制項を付加することにより,この振動を抑制すると同時に補正項を設けて,この振動抑制項が各応答特性に与える影響を軽減する手法を提案し,その有効性を確認した.
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