研究概要 |
曲げ強度,歯面強度の伝達負荷能力がインボリュート歯車よりも優れた歯車を得ることを目的として,本研究で開発するインボリュート・サイクロイド合成歯形,修正サイクロイド歯形の二つの特殊歯形はすば歯車に対し,まず,パーソナルコンピュータを使って歯車歯形の設計を行った.これに基づいて歯車切削工具(ホブ)を設計・製作し,試験歯車を試作して実験に供した.つぎに,中心距離可変の動力循環式歯車試験機を用いて,ひずみゲージより歯車の動荷重を,また加速度ピックアップにより歯車の振動加速度を測定し,これらのデータを4チャンネルFFTトラッキングアナライザで解析して特殊歯形はすば歯車の振動特性について考察した.続いて,駆動・被動歯車の各軸に取り付けた2台のロータリーエンコーダ,および高速位相差演算器,4周期位相差演算器により歯車のかみあい伝達誤差を測定し,特殊歯形はすば歯車の中心距離とかみあい特性の関係を調べた.また,インボリュートはすば歯車に対する実験も実施し,その実験結果との比較を行って特殊歯形はすば歯車の運転性能の特徴を考察した.なお,特殊歯形はすば歯車の振動・かみあい特性の理論的解析は現在計算を続行中である. 以上の結果を要約すると(1)本研究で設計・製作した歯切り工具(ホブ)により特殊歯形はすば歯車の製作が可能となった.(2)歯車中心距離が設計値の場合に,特殊歯形はすば歯車はインボリュートはすば歯車よりも優れた振動性能を有する.(3)中心距離が設計値からずれた場合には特殊歯形はすば歯車のかみあい状態や振動性能が変化し,特に中心距離が設計値よりも100μm以上狭くなると,かみあい伝達誤差がやや大きくなり,振動性能が低下する傾向があるが,その性能低下は十分に小さいものであり,特殊歯形歯車においても,はすば歯車とすることによって振動・かみあい性能が向上することが確認された.
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