研究概要 |
本年度は、液滴には水(H_2O)とし、気体には窒素ガス(N_2)を用いた実験を行った。衝撃波マッハ数はl.6から2.6の範囲で変化させ、微細液滴が浮遊する二相媒質中を伝ぱする衝撃波の特性について実験を行った。はじめに,発生する液滴の空間的分布の均ー性、および液滴半径のサイズ分布の一様性について予備的実験を行なった.これにより、液滴径はほぼ単分散であり,平均液滴径は0.6ミクロンから0.8ミクロンの液滴が生成可能であることが確認された.このようにして生成した液滴が浮遊する気液混合気体中を衝撃波を伝ぱさせて、その可視化写真を撮影した。可視化手法は,直接シャドウグラフ法を改良したもので,これにより得られた可視化像を画像処理することにより、液滴の数密度変化を透過光強度法で、液滴半径の変化を同じく透過光強度法で求めた.また,同画像から液滴数密度の増加と液滴の速度とが逆比例する関係を利用して,速度緩和長さを計測し,これを衝撃波マッハ数との関係で整理した.この手法で予測される衝撃波は、部分分散型の衝撃波であることを確認した.この現象を対象にして、数値解析によるシミュレーションを行った。計算スキームは差分法の一つであるTVD法であり,これによりミスト中を非定常的に伝ぱする衝撃波の数値シミュレーションを行い,実験結果と比較した.比較の結果,速度緩和過程に関して計算による予測値は,速度緩和距離が,衝撃波マッハ数が異なる場合もほぼ-定となるのに対して,実験結果は,衝撃波マッハ数が低いばあに非常に大きくなることが明らかとなり,速度緩和領域が広がり,衝撃波背後に長い緩和領域が形成されることが明らかとなった.
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