研究概要 |
1.非定常細線加熱法で測定した細線の温度変化に対して,ラプラスの数値逆変換法を用いて解析を行った結果,従来の方法に対して測定開始初期の温度変化までも計算でき,さらに熱伝導率,熱拡散率を同時に測定できることがわかった.ベンゼン,油について,この方法を用いて熱拡散率,比熱を求めた. 2.加熱した細線にレーザ光を照射し,レーザ透過光の位置の変化,及びマッハツェンダー干渉計による縞の変化を測定した.その結果,細線周囲の温度変化によってレーザ光の透過位置が変化することが確かめられ,この測定によって油の熱物性値の変化を光干渉法で測定できることが確かめられた. 3.温度差のある2平行平板間に流れる油の温度分布・流速分布の数値計算を行った結果,主に層流熱伝達によって冷却を行っているオイルクーラーでは,流量を上げるだけでは冷却能力はそれほど上がらないことがわかった.冷却効率を高めるためには,流れを乱し,冷却面近傍の油と冷却されていない油とを積極的に混ぜる必要がある.また,この計算結果の有効性を確認するために,上下壁面の温度を調節することが出来る矩形流路を製作し,温度分布・流速分布の測定を行った結果,温度・流速分布とも数値計算結果とよく一致し,温度差のある粘性流体の流れのシミュレーションが正しく行われていることを確認した. 4.絞り内を流れる油には流線がはっきりと見える.この流線の温度を熱電対によって測定した結果,キャビテーション発生時には周りの油に比べ最大2℃もの温度上昇があることがわかった.さらに絞り内部に直接熱電対を取り付けてキャビテーションを発生させると,同様の温度上昇が見られた.速度境界層幅を10μm程度に考え,流体の変形による発熱量を計算すると,この程度の油温の上昇があり得ることから,この流線は,油の速度上昇による屈折率の変化によって光が曲げられた結果生じたものであることがわかった.
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