研究課題/領域番号 |
09450079
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小森 悟 京都大学, 工学研究科, 教授 (60127082)
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研究分担者 |
嶋田 隆司 京都大学, 工学研究科, 特別研究員
長田 孝二 京都大学, 工学研究科, 助手 (50274501)
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キーワード | 物質移動 / 気液界面 / 乱流構造 / せん断力 / 乱流拡散の相似性 / 温度成層 |
研究概要 |
気液界面上を気体が乱流状態で流れる場合、気流による剪断力が気液界面に働き、液流側には波状運動からなる風波乱流場が形成される。気流が低速の場合にはさざ波が形成され、高速でせん断力が強い場合には気液界面が激しく崩壊し気泡が巻き込まれる。このような剪断力が働く気液界面を通しての物質と熱の輸送機構を解明することは、流体工学分野で扱う蒸発・凝縮・ガス吸収装置等の工業装置の最適設計、および、もっと大きなスケールでは大気・海洋間での海水面を通しての物質と熱の交換量を正確に評価するうえで極めて重要になる。 そこで、本研究では、初年度の風波乱流場での乱流構造と物質移動機構の解明に対する実験につづき、気流によるせん断力の働く気液界面を通しての熱移動に関する実験を行うことにより物質と熱の移動に関する相似性について考察を行った。また、乱流場に温度成層が存在する場合には、浮力そのものを生み出す熱の乱流湯拡散と炭酸ガスのように浮力には関与しない物質の乱流拡散との間に差異があるかどうかについても実験的検討を行った。さらに、気液界面崩壊時に発生する気泡と液滴の飛散機構を明らかにすることをめざした。 その結果、せん断力の働く気液界面を通しての熱移動と物質移動の間には、気流速が大きく気液界面が激しく崩壊する場合には相似関係が存在するが、気液界面の崩壊度が小さいか全く崩壊しない場合には相似性が成立しないことが明らかになった。しかも、物質よりも熱の移動の方が抑制されるとの結果が得られた。また、安定温度成層流中では熱の乱流拡散が物質のそれよりも抑制されることが明らかになり、従来の研究で用いられてきた熱と物質の乱流拡散係数を同じとする仮定が成立しないことが明らかにされた。さらに、気泡および液滴に働く揚力および抗力を直接数値計算により評価した。
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