研究概要 |
1.二次元円柱モデルによる実験 鉄道総合技術研究所・風洞技術センター(米原)の大型低騒音風洞を用いて,圧力センサーを30個内蔵し,400km/hの風速に耐え得る円柱モデル(長さ3m,直径0.267m)により実験を昨年に引続き行った.レイノルズ数Re=2.5x10^5〜2x10^6の範囲で,円柱表面境界層が層流剥離する,sub-critical,乱流に遷移するsuper-critical及び完全に乱流になってから剥離するtrans-criticalの3領域を完全にカバーし,円柱表面圧力変動と放射音(エオルス音)の関係を定量的に明らかにした.super-critical領域では,ストロハル数が0.45程度に上昇し,エオルス音のピークレベルは20dB程度減少した.今年度は,円柱表面の圧力変動から空力音響理論を用いてエオルス音の大きさを予測して,実際の発生音レベルと比較した.層流剥離領域及び遷移領域では予測レベルは実測値より数デシベル高く,乱流剥離領域では逆に予測レベルは実測値より数デシベル低くなった.従来のレイノルズ数Re=10^4のオーダーの領域に比べると予測精度は若干低くなるが,これはカルマン渦の放出に強い三次元性が現れるため,表面各部での圧力変動の位相差が大きくなり,予測精度に影響しているもの思われる. 2.二次元角柱モデル実験 断面寸法180x180mm,長さ3mの角柱に圧力センサー30個を内蔵して,レイノルズ数Re=1.7〜2.5x10^5の範囲で,角柱から放射されるエオルス音の特性を調べた.従来のレイノルズ数Re=10^4のオーダーの領域に比べるて,特に大きく変わった特性は見られなかった. また,今回の研究で得られた高レイノルズ数でのエオルス音の特性と,従来の低レイノルズ数におけるデータを統合して,エオルス音の汎用データベースを構築する準備を行った.
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