研究課題/領域番号 |
09450086
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
黒崎 晏夫 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (70016442)
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研究分担者 |
伏信 一慶 東京工業大学, 工学部, 助手 (50280996)
佐藤 勲 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10170721)
内田 豊 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (00017336)
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キーワード | 射出成形 / 表面固化層 / 高精度成形技術 / フローマーク / 伝熱制御 / 光学的計測 |
研究概要 |
樹脂成形品の射出成形時のマイクロスケール不安定現象をコントロールする手法を確立することを目的として、特に樹脂成形品表面の波状フローマーク発現機構とその制御性について検討を行い、以下のような結果を得た。 (1) 波状フローマークの発端となる溶融樹脂表面変形の発端位置を確定するために、溶融樹脂の型内挙動の可視化結果と、数値解析ならびに赤外線放射温度計による流動先端近傍の樹脂表面温度とを詳細に比較検討した。その結果、フローマークへとつながる樹脂表面の変形は、充填段階中の流動先端自由表面上ではなく、型との接触点直後に発生することを明らかにした。 (2) 成形される樹脂材料や型表面材料の物性、射出樹脂温度・速度、型初期温度などの成形条件がフローマークの形状に与える影響を実験的に評価した。さらに、フローマーク発現へつながる成形品表面の変形が流動先端直後の樹脂・型界面に生じる固化層の成長に伴うそり変形に基づくとのモデルを提案し、このモデルに基づいたフローマークのアスペクト比を解析的に予測した。フローマークの大きさが数10μmと微細になっても、両者の結果がきわめて良い相関を示すことが確認し、提案したモデルの妥当性を示した。 (3) 型表面と樹脂表面との間隙をサブミクロンの精度で実時間計測できる光学的計測手法を開発し、これをフローマークの発達状況の計測に適用した。その結果、フローマークの深さは上記(2)の機構に基づいて充填段階中に急速に大きくなるが、一旦深さの増大が停止した後、型内樹脂の冷却が進むにつれて、再び深さを増すことが明らかとなった。 これらの結果から、射出成形創成面のマイクロスケール不安定現象を制御し、高精度成形技術を確立するためには、研究代表者らが提案しているふく射加熱などによって充填段階の樹脂流動先端直後の固化層発達速度を制御することが最も本質的であると結論した。
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