研究課題/領域番号 |
09450089
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岡崎 健 東京工業大学, 炭素循環素材研究センター, 教授 (20124729)
|
研究分担者 |
小川 邦康 東京工業大学, 総合理工学研究科, 助手 (50272703)
平井 秀一郎 東京工業大学, 炭素循環素材研究センター, 助教授 (10173204)
|
キーワード | 石炭燃焼 / 地球環境 / 二酸化炭素 / 窒素酸化物 / 低NOx燃焼 / 炉内脱硫 / 排ガス循環 |
研究概要 |
CO_2循環型石炭燃焼では純酸素/再循環ガスの雰囲気中で石炭を燃焼させることで、分離過程を経ることなくCO_2を直接回収できる。さらに、NOxの排出量が通常の空気燃焼時に比ベ1/4〜1/6に大幅に低下するとともに高効率炉内脱硫も可能となることが期待されている。本研究は、CO_2回収、極低NOx化、高効率炉内脱硫を同時に実現する、新しい環境保全型石炭燃焼システムの基礎を確立することにある。平成9年度は、極低NOx化のメカニズムについて、実験的・理論的に詳細な検討を行った。 まず、3種のNOx低減機構、1.燃焼場内のCO_2濃度増加による石炭中N分のNOxへの転換率の低下、2.再循環ガス中に含まれるNOxが火炎帯に再流入する際の還元、3.石炭中のN分と再循環ガス中のNOxの相互作用を考慮した。これら各機構によるNOx生成・分解への影響を分離して検討するため、循環炉を用いず、予混合一次元層流流通式燃焼炉を用いて実験を行い、CO_2循環石炭燃焼のマテリアルバランスを考慮することで、流通式燃焼炉での実験結果を循環炉のそれに適用した。その結果、空気燃焼からCO_2循環石炭燃焼へ至る最終的なNOx転換率低下に対する各機構の寄与度は1.CO_2濃度増加によるNOx排出量の低下は全体の低下の10%程度、2.Fuel‐Nと再循環ガス中のNOxの相互作用による低下は全体の低下の10%〜50%程度、3.再循環ガス中のNOxが火炎場に再流入する際のNOxの積極的還元による低下は全体の低下の50%〜80%と最も大きい、という結論を得た。つまりCO_2循環石炭燃焼における大幅なNOx排出量低下の主要因は通常の排気ガスのうちの約4/5が再循環しその中に含まれるNOxが火炎帯に再流入する際に約半分近くが還元されるためであることが明かとなった。 さらに、化学反応動力学解析の結果から、高CO_2雰囲気下でのNOx生成・還元に関する主要な反応パスを明らかにした。
|