| 研究概要 |
本研究は,空調機・ヒートポンプ・冷凍機の蒸発器を対象として,冷媒の水平蒸発管内におけるドライアウト点とポストドライアウト熱伝達の特性を明らかにし,それらの精度良い予測式を確立することを目的とする.
本年度は,前年度までに得た実験データと成果に基づいて,予測式の作成を行った.
1. 水平蒸発菅では,垂直菅の場合と異なり,ドライアウトの開始点と完了点は一致せず,ドライアウトが始まってから完了するまでに0.1〜0.2のクオリティの幅がある.ドライアウト開始点と完了点のクオリティについて,以下のように予測式を得た.
(1)平滑管におけるドライアウト開始点と完了点のクオリティは,それぞれ,流量と熱流束の影響の違いによって三つの特性域に分類されることを明らかにし,各特性域について無次元の予測式を作成した.得られた予測式は,実験データと±0.03以内の精度で良く一致する.
(2)ら旋溝付管におけるドライアウト開始点と完了点のクオリティは,それぞれ,流量と熱流束の影響の違いによって二つの特性域に分類されることを明らかにし,各特性域について無次元の予測式を作成した.得られた予測式は,実験データと±0.02以内の精度で良く一致する.
2.ドライアウト完了点以後のポストドライアウト域の熱伝達の予測方法について以下の結果を得た,
(1)平滑管では,流れは噴霧流で,気液二相は熱力学的非平衝の状態にあるとみなされる.管壁から蒸気,蒸気から液滴への伝熱の経路を考慮して,非平衡状態での実クオリティを見積もる方法を考案した.更にこれより蒸気部分のみの単相流熱伝達を考慮して管壁温度の値を算出することにより,熱伝達係数を求めるができる.熱伝達係数の予測値は,実験値と±10%以内で良く一致する.
(2)溝付管では,ドライアウト完了クオリティが1近傍であるため,過熱蒸気単相流の熱伝達とみなしてよく,熱伝達係数は,先に作成した溝付管の管摩擦係数に関する整理式を用いて,単相流熱伝達のGnielinskiの式から精度良く予測することができる.
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