研究概要 |
本年度は,リプロンを利用した表面光散乱法を改良し,溶融シリコンに適用した。得られた成果は以下のようにまとめられる。 (1) 高温での精度向上のため,リプロンの波数選択のための新たな回折格子を導入した。また,防震対策や光学系の高精度化を行うことにより信号のS/N比が向上し,表面張力のばらつきを±8.9%から±1%以内に抑えることができた。また,測定精度を±8.5%から±4.1%に向上することができた。 (2) 溶融シリコンの表面張力・粘性率の測定を行った。測定試料は,99.9995%のシリコン単結晶であり,温度範囲は融点(1685K)から1850Kであった。計123点の測定値から次の相関式を作成した。σ=800-0.13(T-1685)mN-m^<-1>標準偏差は±0.48%で、測定精度は±4.4%と見積もられた。GDMSにより分析した測定終了後のシリコン中の残留酸素濃度は6.35×10^<17>atoms・cm^<-3>であり、CZ系における表面張力と酸素の関係を調べるうえで重要なデータを測定できたと考えられる。表面張力については、密度データによる表面張力の違いや酸素濃度等を含め、他の研究者の測定値と比較した。粘性率については、最大のばらつきが80%程度と測定精度(±18%)より大きく、満足のいく結果を得られなかった。しかし、この主な原因は液面の揺れであるため、今後の改良・検討が必要である。
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