制御用電磁継電器(リレー)や各種電気器具の電源スイッチの主要部品である電気接点対において開離不良故障が起こると、それらデバイスを内蔵した電気装置全体の故障となり、大きな事故となる(例えば、平成5年阪市ニュートラムの事故はブレーキ制御継電気の電気接点対の解離不良であった)。解離不良原因の1つは転移の依って出来る突起と窪みとがロッキングを起こすことであり、本研究では転移突起の成長過程に着目し、電気接点対の開閉動作回数と転移突起の成長との関係を観測している。継電器に搭載した汎用AgCdO12wt%電器接点対及びそれと関連あるAgCd11wt%電器接点対で、直流30V-10Aの抵抗性回路を3秒間に1秒通電出来るように閉成責務動作させ、その閉成責務動作を1試料について10万回繰り返す実験を行っている。各閉成責務動作毎に、閉成時アークの継続時間とエネルギー、10A通電中の接触抵抗、固定側電気接点背面の温度、室温を自作装置で測定し、1000閉責務動作毎に電気接点の陰極面に出来た突起を撮影している。閉成責務動作回数の増加と共に突起は太く・高くなるが、その成長過程及び突起の欠落発生が電気接点材料によって違う。AgCd電気接点では突起の底面太さが高さを上回り、逆にAgCdO電気接点では突起の高さが底面太さを上回り、AgCdO電気接点対では閉責務動作回数万回に時点で約0.0mm程度の突起の先端が欠落することがある。しかも、AgCd0電気接点対の3試料においては閉成責務動作3万回でロッキングが起こり、AgCd電気接点対3試料では10万回の閉成責務動作でもロッキングは起こらなかった。さらに、突起の成長過程と接触抵抗の変動との間に特異な関係がありそうな兆候を見つけている。
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