研究概要 |
電気接点材料として最も多量に使われている銀酸化カドニウム(Ag/CdO)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、カドニウム不使用化で脚光を浴びている銀酸化錫(Ag/SnO_2)、銀錫(Ag/Sn)などで電気接点を作り、実際に使われている継電器(接触力:0.45N、開離力:0.15N)に搭載した。それら試料継電器に搭載した電気接点対を、直流30V-10Aの抵抗性回路内で閉成責務動作を或いは開離責務動作を繰り返させて、接触面にできる転移突起の形状変化やスチッキング発生条件について検討した。 Ag/CdO12wt%電気接点対では、閉成責務動作接点の陰極面にできる突起高さHとそれの根本太さDrと初期設定時の接点間隙Gとの間に、数万回め閉成時アークの積算継続時間が2ミリ秒程度であっても、「H/G>0.5,H/Dr>0.5」の関係に達すると,スチッキングが発生することを発見した。この数値は、電気システムの定期検査時に、継電器の取り替えや残存寿命の判断基準として役立つ。 Ag/SnO_212wt%電気接点対では、大きな突起ができるけれども、その突起が崩壊するのでスチッキングは発生しなかった。Ag/Sn9.5%電気接点対では、突起は非常に小さいが溶着と考えられるスチッキングが発生した。 Ag電気接点対では背丈は低いが、根本直径の太い突起が陰極面上に発生し、スチッキングは発生しなかった。Pd電気接点対では、大きな突起が陽極面上に発生したが、Ag/SnO_212wt%接点対の場合と同様に突然崩壊し、スチッキングを引き起こすことも無かった。Ag接点対やPd接点対の場合、突起は崩壊直前の最大Hのときでも、「H/G<0.5,H/Dr<0.5」の関係であった。 開離時アークの分光スペクトルを計測することで、平均アーク柱温度の時間変化や蒸発原子密度の時間変化を計測した。しかし、電極の消耗量や転移量をアーク柱温度や原子密度と数値的に結びつけることはできなかった.
|