平成9年度は、全超伝導発電機までの論究はしなかったが、30kVA実験機製作を対象とした界磁超伝導発電機の最適設計法の確立を行った。その場合、機械の体格並びに重量を評価関数として機械の寸法パラメータを変更する設計コードを作製し、種々の条件を加味した最適化を可能とした。この設計コードは200MVA及び1000MVA級機の設計にも条件の変更のみで可能なものである。次に、最適化はなされていないが200MVA及び1000MVA級全超伝導発電機の概略設計を行い、それらの2回線一機無限大母線系統中での3相短絡故障に対する全超伝導発電機の特性を、特に電機子巻線の故障電流に着目し検討した。その結果、電機子巻線の故障電流を減少するために限流器の必要性を確認し、限流器投入時の効果及びSDR制御方式の導入効果を計算機計算を実施した。更に、磁束ポンプを励磁器としたブラシレス励磁方式を超伝導発電機に適用した場合の200MVA及び1000MVA級機に対して、同様の系統故障特性を検討して、従来の励磁方式と比較し、本ブラシレス励磁方式の特徴を明かにした。この検討に加えて、動態安定度の限界出力特性を、従来の励磁方式とブラシレス励磁方式に対して比較調査し、ほとんど同じ特性を呈示することを確認した。更にまた、これまで製作した20kVA級機のブラシレス励磁形全超伝導発電機の出力限界曲線を遅れ及び進み力率領域まで検討し、従来の励磁方式と比較して進相領域が拡大される特長を明かにした。以上の成果の一部は、主に国際学会の場で発表した。多くの得られた他の成果は、公表のため準備中のものもある。 尚、来年度は全超伝導発電機の最適設計法を系統シミュレーションと合わせて、論及予定である。
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