研究概要 |
磁気車輪の高性能化および設計に関して以下の基礎データを得た。 (1)磁石体積当たりの浮上力は,磁石磁界分布の基本波成分の大きさにほぼ比例することを確認した。したがって,磁気車輪のポールピッチに対する磁極長さの割合は2/3から5/6の範囲が適切であり,取り付け構造も考慮してこの鞄囲内から最適値を決定する。 (2)ギャップ長に対して20倍程度のポールピッチが確保できる場合には極数が多い方が有利である。また,ポールピッチが大きい場合,長いギャップに対しても大きな発生力を得ることができるが,多極数では磁気車輪直径が大きくなる。したがって,磁気車輪外形を20cm程度に規定すると5mm程度のギャップでは4極が最適である。 (3)永久磁石の磁化方向の厚さを変更しても,磁石表面近くにおける磁束密度はあまり変化しないために,小ギャップでの使用であれば磁石厚さは薄くできる.また,本磁気車輪の場合,二次側は非磁性の導体板だけであり磁路の大部分は磁気抵抗が大きいために,磁石の厚さの増加に対して浮上力は飽和しにくいが,単位体積当たりの浮上力の見地からは2cm厚程度が最適である。 (4)磁気車輪の鉄心ヨ-クは,ヨ-ク裏側への磁気シールド効果は大きいが,エアギャップ磁束密度はヨ-クなしでも8割程度を得ることができる。特に極数が小さいとき鉄心ヨ-クは厚くなり,磁気車輪の重量の大きな割合を占めることに成る。したがって,ペイロード向上策として鉄心ヨ-クは使用しないことが得策と考えられる。 (5)磁気車輪の駆動を内臓の電機子巻線で行う場合,駆動に必要な電機子巻線の重量は浮上力に対して十分小さくできるため,ギヤを用いない電機子巻線組込型の磁気車輪が得策と考えられる。
|