研究概要 |
本磁気車輪は,永久磁石を偏い式あるいは傾斜式と呼ぶ方式で導体板上で回転させることによって,誘導反発型の磁気浮上力と誘導型の推力を同時に発生させる電磁機器である。また,磁気車輪ユニットとは,永久磁石とヨーク間に三相の電機子巻線を挿入して同期電動機を構成し,回転駆動能力を持たせたものである。この自己回転型ユニットを偏い式磁気車輪として用いた試験結果から次のことが明らかになった。 1.自己回転型磁気車輪ユニットによって,誘導反発型磁気浮上にもかかわらず,駆動電力をほぼ力率1にできることが実証された。 2.磁気車輪ユニット4個を装着した車両の浮上実験により,本磁気車輪は,自重を十分上回る浮上力を発生できるうえに,浮上に要する渦電流の半分程度を推力として利用可能なことが実証された。 3.4個の磁気車輪を同時に使用することにより,トルク成分を完全に打ち消すことができること,また浮上力や推力値は単体での値の単純な総和に等しいことが確認された。さらに,振動もほとんどなく安定した浮上が得られたことが確認された。 なお,塵を嫌う場所では,長ギャップでの浮上走行が可能なため,適当な間隔で床に設置した磁石回転体側をケースで覆い,導体板を装着した可動子のみをケースの外側で浮上駆動する方式も考えられる。また,本構造のままでは案内力は得られないが,浮上力を浮上と案内の双方に利用する方法により,浮上・案内・推進が可能であると考えられる。一方,本磁気車輪方式は浮上力と推力を同時に得る反面,それぞれを独立して制御することはできないが,この短所は複数個を重なり割合が異なるように設置することによって緩和できると考えられる。
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