研究課題/領域番号 |
09450121
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長谷川 文夫 筑波大学, 物理工学系, 教授 (70143170)
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研究分担者 |
末益 崇 筑波大学, 物理工学系, 講師 (40282339)
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キーワード | 鉄シリサイド / β-FeSi_2 / 発光ダイオード / フォトルミネッセンス / エレクトロルミネッセンス / シリコン / 光配線 / 太陽電池 |
研究概要 |
Si基板上にエピタキシャル成長可能な直接遷移型半導体鉄シリサイド(β-FeSi_2)は、SilC間の電気配線に代わる光接続用の発光素子材料として、また高効率太陽電池、熱電変換素子用材料として注目されている。しかし、FeとSi両方の蒸気圧が低いため、通常のMBEやMOVPEによる成長が困難であるばかりでなく、凝集が激しくて均一な連続膜を得ることも容易でなかった。本年度は、連続膜を得て電気的特性を明らかにすることと、p型Si/βーFeSi_2/n型Siダブルヘテロ構造からのエレクトロルミネッセンス(EL)の実現を目標に実験を行った。 連続膜については、真空チャンバー内で化学量論組成比を満足するようにSi/Fe多層膜蒸着し、SiO_2膜で蓋をして900℃、10時間以上のアニールをすることにより、高品質のβ-FeSi_2連続膜を得ることができた。伝導型は組成比により変わり、移動度はn型で最大6900cm^2/Vs(at 46K)、p型で15000cm^2/Vs(50K)と従来の報告の数倍から数十倍の値が得られた。 発光ダイオードに関しては、Si基板中の酸素とβ-FeSi_2球を埋込むSi MBE成長温度が重要で、FZ基板上に400-500℃の比較的低温でβ-FeSi_2球を埋込むことにより、良好なPL特性が得られた。これらの成長条件を用いて、β-FeSi_2球をSipn接合に埋込んだ発光ダイオードを作製し、電流注入を行ったところ、240Kで1.6μmのエレクトロルミネッセンス(EL)を確認した。これは、β-FeSi_2のELとしては世界で2番目、また、最高温度でのEL実現である。
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