研究概要 |
本研究では、Si上の発光・受光デバイス材料として期待される半導体鉄シリサイド(β-FeSi_2)について、Si(001)基板上に結晶性の良いβ-FeSi_2膜を成長し、さらに、これをMBE成長Siで埋込むことで、光配線用の発光源として使える発光ダイオードを作製することを目的として実験を行い、以下の結果を得た。 1.Si(001)上に、これまでで最大の移動度を示す高品質なβ-FeSi_2膜を作製した。 これは、熱反応堆積法により成長したβ-FeSi_2膜をテンプレートとし、Si/Fe多層膜を堆積して、SiO_2キャップを用いることで、アニールによっても凝集しない[100]配向のβ-FeSi_2膜が得られたことによる。伝導型は、Si/Fe組成比により制御でき、電子、正孔について、約50Kで、それぞれ最大6900cm^2/Vs,13000cm^2/Vsと、これまでで最高の移動度を得た。 2.Si(001)上に、P-FeSi_2を活性領域とするSi p-nダイオードを作製し、10A/cm^2以上の電流密度において、1.6μm室温エレクトロルミネッセンスを初めて実現した。 これは、P-FeSi_2の発光に最適なSi基板、およびP-FeSi_2をMBE成長Siで埋込む際の成長温度を最適化したことによる。
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