研究課題/領域番号 |
09450128
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川上 養一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30214604)
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研究分担者 |
藤田 茂夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (30026231)
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キーワード | 励起子 / 励起子分子 / ワイドギャップ半導体 / 低次元構造 / 発光ダイナミクス / 局在 / 巨大振動子効果 / レーザ |
研究概要 |
本研究は、ZnSe系II-VI族、GaN系III-V族半導体低次元構造の構築を図ること、およびそれらの構造における励起子の振る舞いを分光学的に解明し、光学的な物性を明らかにすることで、その物性を応用した励起子光デバイス実現に向けた基礎研究を行うことを目的としている。平成9年度の研究成果は、以下に示す通りである。 1.原子のレベルで平坦なGaAs(110)劈開面上にZnSeを成長した後、大きい歪みを持つCdSeを成長させことによって、Stranski-Krastanov成長モードで自己形成される量子ドットの作製に初めて成功した。また、歪みの緩和過程に面内異方性が現れ、表面にリッジや島などナノ構造が形成され、リッジ状構造上に島構造が自己整列する新しい現象を発見した。このことは、自己形成した量子箱の2次元的な位置の制御の可能性を示すものである。さらに、これら構造の光物性評価から、3次元的に閉じ込められた強い励起子発光線が観測された。また、顕微フォトルミネッセンス測定から、その発光が各量子ドットからであることを示し、その発光の2次元的分布を検討した。 2.InGaN多重量子井戸からなる紫色LD構造からの発光(自然放出)ダイナミクスを、ピコ秒パルスレーザ励起による時間分解フォトルミネッセンス(TRPL)により評価し、励起子の局在、幅射、非幅射再結合過程を解析した。その結果、InGaN活性層のIn組成が約10%以下の試料においては量子井戸面内にランダムなポテンシャル揺らぎが存在し、それによって励起子の局在が生じていること、In組成が増えるにしたがい局在の程度が大きくなり、約20%以上のIn組成の試料では量子ドット的な領域が自然形成していることが明らかにされた。このような大きな局在化によって、励起子の非幅射再結合中心への捕獲が抑制され、高い発光の量子効率が実現していることが示された。
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