研究課題/領域番号 |
09450130
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冷水 佐壽 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50201728)
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研究分担者 |
北田 貴弘 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (90283738)
下村 哲 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (30201560)
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キーワード | 自然形成型量子細線 / GaAs量子細線 / InGaAs量子細線 / (775)B GaAs基板 / MBE成長 |
研究概要 |
本年度は、(775)B GaAs基板上のMBE成長中に自然形成されるGaAs/(GaAs)_4(AlAs)_2量子細線の光学的特性、InGaAsの表面コラゲーション、InGaAs/(GaAs)_5(AlAs)_5量子細線について報告する。 1.GaAs/(GaAs)_4(AlAs)_2量子細線 (775)B GaAs基板上に成長したGaAs/(GaAs)_4(AlAs)_2量子細線で、PL半値幅とPL強度の温度依存性を測定した所、温度上昇に伴う半値幅の増大およびPL発光強度の減少が同時成長した(100)基板上の量子井戸サンプルに比べて抑えられていた。これは、(775)B量子細線のシャープな一次元状態密度によるものである。また、非発光過程を考えなくて良い10-50Kの温度領域で、(775)B量子細線のPL緩和時間の温度上昇による増大が(100)量子井戸に比べて抑えられていた。この結果も、一次元と二次元の状態密度の形状の違いから説明され、(775)B量子細線の高い一次元性を示している。 2.InGaAs表面コラゲーション 基板温度620℃以上で(775)B GaAs基板上に成長した膜厚3nmのInGaAs(x=0.2)層の表面に、GaAsの場合と同様に[110]^^-方向に走る自然形成コラゲーションがAFMにより観察された。このコラゲーションの周期は約20-50nmでIn組成の大きさに反比例して変化することが確認された。また(775)B基板上のInの取り込みに関しては、通常の(100)基板上の成長ではInの再蒸発等によりInが取り込まれない基板温度600℃以上でも、(775)B基板の場合にはInが取り込まれInGaAsの成長が可能であることが分かった。 3.InGaAs/(GaAs)_5(AlAs)_5量子細線 上述のInGaAsコラゲーションを利用して、GaAs量子細線と同様のInGaAs/(GaAs)_5(AlAs)_5量子細線を作製して、PL測定によって光学的に評価した。発光波長695nmのPL発光ピーク(14K)で、一次元性の高さを示す細線方向への大きな偏光(偏光度P=0.19)と、均一性の高さを示す小さなPL半値幅(17meV)が得られた。この値は、GaAs/(GaAs)_4(AlAs)_2量子細線と同様に、これまで報告されている量子細線のなかでもトップクラスの値である。
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