研究課題/領域番号 |
09450132
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大木 義路 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70103611)
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研究分担者 |
薛 光洙 早稲田大学, 理工学部, 助手 (60298148)
宗田 孝之 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90171371)
浜 義昌 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 教授 (40063680)
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キーワード | シリカ / シリコン熱酸化膜 / フォトルミネセンス / 点欠陥 / シリコン埋め込み酸化膜 |
研究概要 |
本年度の研究において、強力な紫外-真空紫外光であるエキシマレーザ光やシンクロトロン放射光を用いることにより、a-SiO_2薄膜からでも充分な強度を有したフォトルミネセンスが得られることが証明され、今まで、有力な評価手段のなかったa-SiO_2薄膜の点欠陥に対する検出手法としてのフォトルミネセンス法が確立できた。さらに、この手法を用いて、シリコン熱酸化膜やSIMOX埋め込み酸化膜を対象として、その膜の製法に起因して膜が本質的に含有する欠陥とイオン注入や高温熱処理等のデバイス製造プロセスにより生じる欠陥の検出と欠陥構造の同定を行うことができた。 イオン注入されたシリコン熱酸化膜にKrFエキシマレーザ光を照射することにより三つの発光帯(4.3eV、2.7eV、1.9eV)を観測した。また、4.3eV発光の励起帯が約5.0eVと7.3eVにあることをシンクロトロン放射光を用いた発光励起測定から観測した。さらに、シングルバンチ運転下のシンクロトロン放射光(光パルス幅約0.55ns)を用いた時間相関単一光子計数法等の測定により4.3eV発光の寿命は5.0eV光励起では約2.6nsであり、7.3eV光励起では約1.9nsであること、2.7eV発光の寿命は約6msであることを明らかにし、これらの発光がイオン注入によりシリコン熱酸化膜に誘起された酸素空孔に起因していること、および、イオン注入により熱酸化膜に誘起された欠陥の消滅に対して、高温での熱酸化中に酸化膜に溶け込んでいた酸素が重要な役割を果たしていることを明らかにした。 つぎに、シリコン基板への酸素イオン注入後、高温の熱処理により形成されたSIMOX埋め込み酸化膜を試料として、埋め込み酸化膜上のSi層をKOH溶液でエッチング除去したのち、KrFエキシマレーザ光励起下で発光を観察すると、4.3eV発光の強度はSIMOX埋め込み酸化膜の残存膜厚に対してほぼ直線的に比例することから、酸素空孔は酸化膜中にほぼ均等に分布しているとしていると推察できる。 また、イオン注入のされていないシリコン熱酸化膜ではこれらの発光が観測されないことから、SIMOX埋め込み酸化膜はシリコン熱酸化膜より遥かに酸素欠乏性の程度が高いことを明らかにした。
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