研究概要 |
アンドープGaNの結晶成長条件と電気的特性の関係について詳しく検討し、特にアンモニア流量を増加することにより、高感度紫外線検出に必要な超高抵抗GaNの作製に成功した。 サファイア上のIII族窒化物半導体結晶成長において、低温堆積中間層の挿入という新しい結晶成長法を開発した。この新しい結晶成長法により、紫外線検出に最も悪影響を及ぼすと云われているGaN中の貫通転位を、従来に比べて2桁以上低減することに成功した。また、同法をAlGaNに適用し、全組成域に亙りGaNと同程度の高い結晶品質を持ち、しかもクラックの無いAlGaNの作製に世界で始めて成功した。 新しい結晶成長法により作製した低転位GaN結晶を用いて、くし形電極による光伝導セルを試作した。アンドープGaNを用いて100pW/cm^2以下の照射強度で応答する受光面を実現した。実用レベルは1,000pW/cm^2なので、少なくとも10倍以上の高感度であった。またアンドープAl_<0.2>Ga_<0.8>Nにおいて、紫外光応答を確認した。吸収端は335nmであった。感度は5A/Wであり、世界最高水準であった。 更に同結晶成長法によりp-n接合型GaNフォトダイオードを試作した。実用上問題となる暗電流の起源について検討し、低逆バイアス時においては反応性イオンエッチングにより作製したメサ部での表面電流が、数ボルト以上の高逆バイアス時には、pn接合でのトンネル電流が支配的であることを明かにした。実際の使用バイアス条件において0.8pAの超低暗電流を実現した。従来は、10、000pA以上であった。 今後更に高AlNモル分率AlGaNのpn接合の実現、波長選択型検出器の実現、電流駆動力の大きいフォトトランジスタタイプの光検出器の実現等の課題に取り組む予定である。
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