研究課題/領域番号 |
09450139
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
浅田 雅洋 東京工業大学, 工学部, 助教授 (30167887)
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研究分担者 |
渡辺 正裕 東京工業大学, 量子効果エレクトロニクス研究センター, 助教授 (00251637)
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キーワード | テラヘルツ増幅素子 / 共鳴トンネルダイオード / テラヘルツ検波 / テラヘルツ用平面パッチアンテナ / フォトンアシストトンネル / 電子波ビート / 金属 / 絶緑体多層構造 / GalnAs / lnAlAsヘテロ構造 |
研究概要 |
テラヘルツ帯の増幅動作の可能性を持つ固体素子として我々が提案してきた、金属/絶縁体極薄多層構造中の電子のフォトンアシストトンネルと電子波のビートによる集群効果を組み合わせた新しい原理の三端子増幅素子を実現するための基礎研究として、まず、この素子の入力部である共鳴トンネル構造において、基本原理の一つであるフォトンアシストトンネル現象を実際に観測し、その特性を把握するために、極微小面積のGaInAs/InAlAs三重障壁共鳴トンネルダイオードを平面パッチアンテナに集積し、テラヘルツ電磁波を照射した際の直流特性の変化からフォトンアシストトンネルが起こっていることを確認した。すなわち、テラヘルツフォトンの吸収と放出に対応する電流ピークが直流特性の変化として明瞭に観測された。さらに、このピーク点のバイアス電圧の照射電磁波周波数に対する依存性を調べたところ、周波数が低くなるにつれて古典的な自乗検波特性に漸近し、逆に周波数が高くなるとともにフォトンエネルギーに直線的に比例する量子論的なフォトンアシストトンネルに漸近していくことを見出した。テラヘルツ領域はその中間的な状態であり、このことから、提案している素子はトランジスタのような古典的な電子走行と、レーザのような電子遷移を組み合わせたデバイスとなることが認識された。観測されたフォトンアシストトンネルの特性からテラヘルツ照射による電子の遷移確率を見積もることができ、その結果、素子のもう一つの基本原理である、トンネルした電子波のビート集群における電荷粗密波の振幅が増幅素子として十分な大きさになる見通しが得られた。また、3重障壁共鳴トンネルによる簡素化された素子構造でも提案している増幅素子が可能であることも見出し、これらの結果から、入出力構造を最適設計すれば、提案した素子実現は可能であるとの見通しが得られた。
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