研究課題/領域番号 |
09450140
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子デバイス・機器工学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中川 茂樹 東京工業大学, 工学部, 助教授 (60180246)
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研究分担者 |
松下 伸広 東京工業大学, 工学部, 助手 (90229469)
金田 久美子 東京工業大学, 工学部, 助手 (10108227)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | ファイバプローブヘッド / 光ファイバー / 軟磁性層 / 垂直磁気記録 / 単磁極ヘッド / 有限要素磁場解析 / 磁気光学効果 / Kerr効果 |
研究概要 |
本研究は先端径がナノメータオーダーの磁性針を先鋭化したファイバープローブ上に形成し、垂直磁気記録用ヘッドとして使用することで超高密度の磁気記録再生用ヘッドとすることを目的としたものである。これを作製するために、光ファイバーをNH_4FとHFの混合液でエッチングすることにより、コアとクラッド部分のエッチング速度の違いを利用してコア部分を選択的に取り出し、これを先鋭化したものを用いる。光ファイバーは直径約125μm程度のクラッド領域の内部に内径2μm程度のコアが存在し、NH_4FとHFの混合液の混合比を変えることで、コア部の先鋭化度やプローブ長、クラッド部分の外径などを制御できる技術を開発した。この技術により光ファイバー先鋭化の最適化と磁性層堆積の最適化を行なった。二段階エッチング法により、コアを選択的に尖鋭化することに成功した。この先鋭化光ファイバーに、対向ターゲット式スパッタ装置を用いて磁性膜を均一に堆積させることにより所望のファイバープローブヘッドを形成することに成功した。 このファイバープローブヘッドを用いた新しい記録システムと再生システムを提案した。記録ヘッドとして先鋭化プローブ表面に軟磁性層を堆積させ励磁を行う方式を有限積分要素法にて電磁界解析を行った結果、プローブヘッド直下の微小領域に記録できることを確認した。さらに軟磁性補助磁極を用いることにより約8倍の記録磁界が得られることを見出した。再生方式として記録磁化により先鋭化プローブ表面に堆積させた磁気転写層を磁化させ、この転写磁化情報をプローブの後方から入射した光の偏光面の回転を利用して検出する機構を考案した。有限積分要素法による性能の解析の結果、面記録密度にて約39Gbits/inch^2という高密度で記録ビットからの磁化情報の転写ができることを見出した。実際に光ファイバーでの偏光特性を評価したところ、直線光ファイバーでは入射直線偏光を保存したまま検出することができた。また実際に、磁気転写層としてGd-Co膜とGd-Fe膜を検討し、Gd-Fe膜においてFe濃度87%程度で、Kerr回転角が0.3°以上、且つ垂直保磁力Hc_1が50Oe程度と、本ヘッドの磁気転写層に必要とされる磁気特性が得られることを確認した。 以上、本ヘッドは磁化状態を直接検出する点が大きなメリットであると共に、極めて高密度における記録・再生の可能性を有しており、将来の垂直磁気記録用ヘッドとして有望であることが確認できた。
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