研究概要 |
本研究の目的は、従来のマルチポートメモリアーキテクチャと高速コピーバスによる8〜64ポートの高速共有メモリアーキテクチャ(特願平11-033753号)の研究であった。しかし1年間の研究の後、シリコンの面積をより小さくできる新しい階層構造型マルチポートメモリアーキテクチャ(特許出願準備中)を取り入れた。このアーキテクチャではポートの数が大きい時(>30ポート)、従来のアーキテクチャと比べて1/25以下に面積を削減できると期待される。本来の目的であった共有メモリアーキテクチャはポート数が非常に大きい時(>64ポート)のみ必要となる。 今年度の研究では階層構造型マルチポートメモリアーキテクチャの鍵を握る新しい論理回路の設計、試作及び1ポートSRAMメモリセルを用いた階層構造型4ポートメモリの設計を行った。 2層配線0.5μmCMOSテクノロジを用いてマルチポートメモリに必要な3つの新しい論理回路(1)衝突処理回路、(2)アクティブアドレス選択回路、(3)アクティブデータ選択回路、を設計した。それぞれの面積及び遅延時間は(1)(〜0.05mm^2,〜1.5ns)、(2)(〜0.015mm^2,〜0.7ns)、(3)(〜0.012mm^2,〜1.0ns)、になった。3回路共、本マルチポートメモリに必要な面積、遅延時間が得られた。またこれらの回路のテストチップをVDECに依頼して試作した。 設計した4ポート階層構造型SRAMメモリは、第1階層で50%以上、第2階層で25%以上従来のアーキテクチャより面積を削減できた。第1階層のメモリ容量を増加すると第2階層は60%以上の面積削減が期待できる。また、アクセスタイムは約10nsと見積もられる。
|