試作したSOI基板上のSiGe三重量子井戸チャネルのP型電界効果型トランジタの電気的的特性を測定した。トランジスタ特性(ゲート電圧-ドレイン電流)については一見良好に見られる試料と、リーク電流の多い試料とが半ばした。このリーク電流はパッシベーションの酸化膜とSiGeまたはSIとの界面を介したリーク電流であったが、両試料の試作ロットが相違しているので、トランジスタ構造の問題よりも試作プロセス上の問題であると判断している。これらの三重量子井戸のトランジスタと昨年度取得した単一量子井戸チャネルトランジスタとの測定結果の対比および解析については次年度に行う予定である。 昨年度から着手したシュレディンガー方程式に基づいた、当トランジスタ構造におけるデバイスシミュレータ、特にホールの状態解析を中心としたセルフコンシスタントなシミュレータの開発を進め、量子井戸チャネルの量子準位の計算が可能となったが、計算精度が十分ではなかった。この原因が文献から求めた物性値や計算手法にあることを突き止め、シミュレータの計算精度改善に努力し、実験値と数meV以内で一致することを確認した。WindowsNT環境で開発した測定データ処理システムについては、改めてJAVA環境で再構築することを検討し、インターネットを利用した分散処理のオブジェクト指向データベースシステムの実現に向けた機器の準備とソフト開発環境の整備を行った。
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