現在用いられている光通信システムの光強度変調方式では、将来のより高速でより大容量の通信の需要に対応する事は困難である。しかし、電波の領域で開発されてきた周波数変調や位相変調を用いた光通信を実現するには、現在の半導体レーザの周波数安定度は不十分であり、搬送波としての特性に問題があり直ちに実用化することは困難である。そこで光源である半導体レーザの発振周波数の安定化を検討した。我々が用いている方法は、変調時に得られる信号の変化を利用して安定化のための制御信号を得る方法であり、単純な包絡線検波回路を応用したものであるが、安定度改善の効果は十分なものが得られている。本研究では、これまでの方法を更に進めて精度ならびに信頼性の高い安定度の評価を実現し、実際の光通信に用いられている波長帯への我々の周波数安定化法の適応について検討している。まず様々な光PDM-FSK変調条件の下での変調時の発振周波数の安定化を規準波長安としてRb原子のD_2吸収線(780nm)を用いて行った。続いて光通信用の波長である1.5μm帯の半導体レーザの2次高調波がRb原子のD_2吸収線付近にあることを利用して、2次高調波を用いた周波数安定化の実験を、780nm帯での安定化と同じ方法で行うことを検討している。一般に光PDM-FSK変調時に、従来方式では実現できない周波数安定度が、我々が考案した方法を用いた場合には実現できることを確認した。次に、2つのレーザ光の間のビ-ト信号を用いる周波数安定度の新しい評価方法を採用し、信頼性の高い周波数安定度の評価を行った。その際、参照用レーザとしては、我々が開発した磁器光学効果を用いた方法で安定化したレーザを用いることで、実験条件の自由度が向上した。
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