研究概要 |
1.領域分割によって得られる可変形状ブロック内の画像を,それを包含する矩形ブロックの直交変換基底の一部を用いて展開する任意形状変換符号化について検討し,以下の成果を得た. (1)矩形2次元DCTの基底を基にして,任意形状に適合し,かつ冗長性のない新しい変換基底を導いた. (2)(1)の基底を用いる任意形状変換符号化の実験を行った結果,圧縮性能が向上した. 2.フラクタル符号化方式において,微小な基本ブロックを統合してレンジブロックとする新しい可変形状フラクタル符号化方式について研究し,以下の成果を得た. (1)レンジブロックの近似誤差を削減するためにドメインプールを書き換えながら符号化を行う手法を提案した.この手法は固定形状及び可変形状フラクタル符号化に広く適用でき,圧縮性能の向上に有効である. (2)基本ブロックの統合において,4隣接統合よりも8隣接統合の方がより形状に整合したレンジブロックを形成することができること,統合方式によるレンジブロック生成の方が四分木分割方式よりも圧縮性能が高いことを明らかにした. (3)輝度値の分散の大きな基本ブロックの周りを優先して統合する手法によって,圧縮性能が更に向上した. 3.ウェーブレット変換を含むサブバンド符号化方式において,分析・合成フィルタ特性を領域に適応して変化させる時変サブバンド方式について研究し,以下の成果を得た. (1)タップ長の異なる二つのフィルタバンクを切替える場合の完全再構成条件を導いた. (2)完全再構成条件を満たすフィルタバンクが与えられた場合に,領域の境界に対して適用する中間フィルタの設計手法を明らかにした. (3)本手法により画面端を含む画像全体でフィルタ切替えによる歪をなくすことができることを実証した. 以上のように,領域適応化により各方式の圧縮性能の向上を実現することができた.
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