研究概要 |
平成10年度は,平成9年度において得られた知見をもとに光強度変調標本化光変復調器の試作を行った.本装置は,光強度変調器,外部光変調器,光検波器ならびに無線バンドパスフィルタから構成されている.光強度変調器に1.9GHz帯の無線信号を入力し,光強度変調信号を生成する.光変調信号は外部光変調器に入力され,帯域自然標本化される.帯域標本化された光変調信号は光ファイバ伝送路を通じて光検波器に入力され,無線信号が取り出される.この無線信号には,標本化により生じた帯域外成分が含まれている.この帯域外成分はバンドパスフィルタにより取り除かれ,希望無線信号が復元される.実験装置を用いて信号対雑音特性や標本化歪みなどの基本特性について測定を行った.その結果,伝送に十分な品質が得られることを明らかにした.また,本装置が光CDMA伝送へ拡張が可能であることが分かった. 次に,本年度は,光ファイバ無線方式と,無線におけるCDMA方式を融合した光フィード偏在アンテナシステムを提案し,その基本特性の解析を行った,無線CDMA方式では,伝搬遅延時間の異なる複数の経路からの伝搬信号を分離し,位相を整合させて再合成するRAKE受信技術が一般に用いられている.この技術と光ファイバ無線方式を組み合わせることにより,平成9年度において提案している光ファイバマイクロセルマクロダイバーシチを容易に実現することができる.また,アンテナをサービスエリア内に遍在させることにより,エリア内の伝搬損失変動を小さく抑えることが可能となり,CDMA方式で問題となる遠近問題を解決する可能性を持つ.ここでは,ビット誤り率特性並びに伝搬損失の変動特性について理論解析を行い,提案方式が有効であることを明らかにした.
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