電磁妨害波測定用実験室の高性能化に関する研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09450156
• 研究機関: 九州工業大学
• 研究代表者: 徳田 正満 九州工業大学, 工学部, 教授 (70284586)
• 研究分担者: 渡部 行男 九州工業大学, 工学部, 助教授 (40274550)
• キーワード: 電波暗室 / 電波吸収体 / レイトレース法 / サイト減衰量 / フェライト電波吸収体 / ワイヤグリッド法 / 磁性材料 / 磁気シールドルーム

研究概要

(1) 電波暗室の電波吸収体:発泡フェライト電波吸収体だけでは10GHz以下の周波数しか適用できないため、数十GHzまで広帯域化するためには、カーボンを含浸した電波吸収体と組み合わせる必要がある。ところが、発泡フェライト吸収体とカーボン吸収体を組み合わせると、発泡フェライトの降下がマスクされてしまい、数百MHzで吸収特性が低下するという問題がある。その問題を改善する方法をレイトレース法により検討中であり、カーボンの含有量を最適化することにより、数百MHzでの吸収特性低下を最小限に抑制し、かつ、10GHz以上のサイト減衰量も満足させる可能性を見出した。
(2) 模擬機器による電波暗室の特性評価法:電波暗室の特性を評価するには、被試験機器の代わりに送信アンテナを設置し、それと受信アンテナ間の電波伝搬特性を測定し、基準値と比較する方法が国際企画で規定されている。しかし、被試験機器をアンテナに置き換えているため、放射パターン等が単純になり、実際の機器を測定した場合に問題となる可能性がある。そのため、模擬機器を使用する方法が検討したが、光ファイバで信号を制御することにより、配線の影響を受けず、複雑な放射パターンを任意の周波数で実現でき、かつ、特性の安定な模擬機器を開発することができた。
(3) 磁気シールドルームの磁性材料:磁性薄膜作製用の真空装置にスパッター源、ガス調整器、シャッター等を組込んで、スパッター装置を組上げた。この後SiN,Gd膜の作製条件に対する最適化を行った。また、Hartshornブリッジ回路を作製し、高真空中で磁化率の温度依存性を極低温から100℃迄測定するシステムを作製した。スパッター装置で作製したGd膜の磁化率の周波数と温度依存性の測定を行っている。

研究成果

• [文献書誌] M.Tokuda,K.Simada and H.Ishii: "Site attenuation characteristics of fully anechoic chamber using foamed ferrite as new absorbing material" 1998 Korea-Japan AP/EMC/EMT Joint Conference Proceedings. 181-184 (1998)
• [文献書誌] T.Hayashi,K.Simada,H.Ishii and M.Tokuda: "Production methods and characteristics of foamed ferrite as new absorbing material of anechoic chamber" 1998 Korea-Japan AP/EMC/EMT Joint Conference Proceedings. 189-192 (1998)
• [文献書誌] J.C.Carlos Aquino,T.Kawashima and M.Tokuda: "Evaluation of anechoic chamber characteristics using optically driven equipment under test" 1999 IEEE International Symposium on Electromagnetic Compatibility. 8月発表予定. (1999)
• [文献書誌] K.Kimura,M.Ooki and M.Tokuda: "Induction characteristics of an equipment with the grounding wire using wire-grid approximation" 1999 IEEE International Symposium on Electromagnetic Compatibility. 8月発表予定. (1999)
• [文献書誌] Y.Watanabe,D.Sawamura,M.Okano and N.Toyama: "Leakage current spectroscopy of epitaxial ferroelectric/semiconductor heterostructures and their memory effect" Applied Surface Science. 130-132. 682-688 (1998)
• [文献書誌] Y.Watanabe: "Theoretical investigation of the thickness effect of ferroelectric incorporating semiconducting properties" Applied Surface Science. 130-132. 610-615 (1998)