研究概要 |
平成10年度では,引き続き製品のソフトウエア品質レベルを維持、向上するための方法論の検討と赤外線メディアを利用したヒューマンインタフェースの研究に取り組んできた.前者に付いてはデジタルカメラのアプリケーション企画であるIrTran-Pプロトコルの検討を継続し,各企業で開発した約10数個の製品群に対して,総当り方式のインタオペラビリティ試験を実施した.約100を越える試験組み合わせに多くの不整合を発見できた.これらの中にはメーカーの規格書の誤認識もあるが,規格書自身の誤り,記述不足を見つけることができた.これらの点をカバーした結果,全ての組み合わせに満足なインタオペラビリティの確保ができ,産業界に多大の貢献ができた. 後者については,(1)赤外線メディアを利用したアドホックネットワークの研究と(2)全二重通信の実現方法の研究を行った..(1)では今後増大が予想されるノートPCを考慮して,机上の置かれたPC間のアドホックな赤外線ネットワークの構築についてであるが,赤外線の一つの特徴であるプラスマイナス15度のビーム型通信であり,近距離のポイントポイント通信には非常に有効であるが,マルチポイント通信にはヒューマンインタフェースの点で比較的制約が大きいことが分かった.現在ここでは良好なヒューマンインタフェースを確保するための検討を進めている.また,本件は通信トポロジーの問題であり,このうち固定型リレー方式によるIRLAN方法を提案した.(2)については,赤外線の全二重化を妨げる要因は送信部と受信部が隣り合わせにあることから,送信部の光の一部が受信部にまわりこむことに起因するもので,このまわりこみを防ぐことが研究のポイントである..当研究室では,赤外線も電磁波の一種である性質を利用して,直交する縦波と横波から構成されることから,両者を偏光版で分離し,送信する方法を考案した.現在,偏光版で遮蔽されることを実験により明確にした.今後は,これらの機能の定量的なデータの取得、並びに理論解析等を進め,論文としてまとめる.
|