研究概要 |
本研究は誤り訂正能力と自己再構成能力を兼ね備えた高度耐故障化集積回路システムの為の基礎理論構築を目指すものである.平成11年度においては,1.並列化システムのオンライン故障検出・診断のためのアルゴリズムレベル耐故障化,2.多くの応用を持つ代表的数値計算である畳み込み演算の耐故障シストリックアレイ構成についての検討を行い,以下の結果を得た. 1.並列化システムのオンライン故障検出・診断のためのアルゴリズムレベル耐故障化:前年度までに得られたModified Processor-Date(MPD)Graphモデルによるシステム解析を拡張し,新たにExtended MPD(EMPD)Graphモデルを提案・導入したシステム解析・設計を提案した.EMPD Graphモデルは対故障化対象アルゴリズムのみならず,チェックのための冗長演算,チェックそのもの,及びそれらのプロセッサ上へのマッピングを取り入れたシステム記述であり,チェックが正しく行われるための特別な外部環境を必要としない自律的な故障検出・診断機構を有するシステムのための解析・設計モデルである.このEMPD Graphモデルを使い,並列化システム内の故障Processing Element(PE)を特定する自律的単一故障診断可能な条件を導出した.また更に,この条件に基づき,自律的単一故障診断可能なシステムの構成アルゴリズムを示した. 2.自律的耐故障シストリックアレイ構成:畳み込み演算は主にディジタル信号処理の分野で多くの応用を持つ代表的数値計算処理であり,特に医療応用,自動制御応用等では,その高速化,高信頼化が重要である.ここでは,この畳み込み演算の超高並列実現の一つであるシストリックアレイ化を前提とした自律的単一故障診断について検討を行い,特殊な冗長計算と冗長データ転送の導入により,これを実現した.
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