研究概要 |
本研究の目的は,高精度で知的な学習制御系を設計するために,ニューラルネットワークが有している,1)学習制御能力,2)並列処理,3)分散情報処理,4)パターン識別能力,および遺伝的アルゴリズムが有している1)大域的最適化能力,2)進化能力を活用した知的システムを設計し,実際の制御問題へ適用し,その学習制御性能やパターン認識に基づいた知的行動計画能力などを検証することである。本年度は,ニューロコントロールによる適応・学習能力を向上させ,新しい制御ルールの発見および制御問題に適したニューラルネットワークの構造を自己組織化し,環境に順応した学習制御系を設計し,倒立振子の安定化や障害物を回避する知的ロボットの3次元運動制御へ応用し,本手法の有効性を検証した。 (1)ニューラルネットワークの学習能力の定式化 階層型ニューラルネットワークが有している学習能力を定式化するために,情報理論における通信路容量の考え方に基づいたニューラルネットワーク容量を新たに導入し,学習能力の定量化について考察した。 (2)遺伝的アルゴリズムによるニューラルネットワークの進化機能の創出: (1)で考察したニューラルネットワークの学習能力の定式化によって示された学習能力や制御性能を向上させるためには,単なる従来の学習アルゴリズムの繰り返しのみでは不可能である。そこで,本研究ではニューラルネットワークに含まれる学習率,慢性係数,温度,結合係数の初期値などを遺伝的アルゴリズムで決定する。また,ニューラルネットワークのグローバルな最適化とネットワークの構造決定に関しては,遺伝的プログラミングを適用する進化型ネットワーク構築手法を提案した。
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