研究概要 |
最近,バイオテクノロジーの分野では,細胞のような壊れやすく微小なバイオマテリアルの非接触・遠隔操作による移送・捕捉・融合・凝集・分散・分画などのアクチュエーション技術や、構造・性質を評価するスペクトロスコピー技術の開発が望まれている.このような状況を踏まえ、本研究は先に本研究担当者が開発したVHF帯超音波の放射力を駆動力とする超音波マイクロマニピュレータを用いて、微量液体中のミクロンサイズの微小物体の弾牲的性質を個別的・選択的に評価する新しい超音波スペクトロスコピー技術の実現の可能性を追究することを目的として行ったもので、本年度は以下のような成果と見通しが得られた。 1.我々が開発した漏洩波トランスジューサと視覚制御技術を用いたマニピュレータによる微小球の移送実験を行なった結果、微小球の運動が、照射超音波パワーや照射条件により、その弾性的性質を反映した特徴的な運動を呈することが明らかになり、本マニピュレータの微小物体のスペクトロスコピーへの可能性が見出された. 2.レーザ光マニピュレータに我々が開発した漏洩波トランスジューサを実装して、レーザと超音波を同時に相補的に用いるマニピュレーションの基礎実験を行い、レーザ・超音波マイクロマニピュレータを実現する見通しが得られた。 これらの成果の一部は,超音波医学会や国際会議(IEEE Ultrasonics Symposium)に発表した。また、未発表の成果は次年度に発表予定である。
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