画像処理技術にもとづき、仮想現実感システムのために、実在物体の3次元形状および色・艶などの見えのモデルを自動的に生成する手法を前年度に引き続き開発した。3次元モデルに関しては、従来手法では測定不可能であった透明物体の形状取得法を開発した。透明物体の表面において面素方向に応じて、偏光の特性が変化することを利用し、これの形状を測定する。反射光は特定の入射方向・反射方向の関係が満たされる場合にのみ観測できる。これを物体全面で測定できるように、球状の光源を作成した。この球状光源を備えた実験装置を作成し手法の性能を確認した。色・艶の面では、固有テクスチャー法を開発した。この手法は3次元幾何形状をベースにする。この3次元形状の表面に物体の多数方向からの見えを貼り付ける。さらに、この3次元モデルの表面の座標系でこれらの見えを固有空間法を利用して圧縮し、固有ベクトルとして保存する。これらの固有ベクトルから高精細の見えが再現できる。さらに物体表面上の座標系を用いているため画像列間に非常に高い相関があり高い圧縮率が得られる。この手法を実装し、実物体を用いて手法の評価を行った。以上、これらの研究成果を学会誌、国際会議、シンポジウムを通して国内外において広く発表した。
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