研究概要 |
これまで,フラッターを制御する目的で様々な桁断面形状の開発が行われてきたが,本研究では,断面中に開口区間のある分離箱桁形式断面を対象として風洞実験を行いフラッター安定化を目指した.特に,風向迎角及び中央開口部に設けた格子グレーチングの開口率(Open Air Ratio)に着目してフラッター特性及びその発生機構に関する考察を行った.本研究で対象とした断面は,辺長比(B/D,B:弦長,D:断面高さ)が5の矩形断面を並列に並べた矩形2-BOX断面,これの両端に正三角形状のフェアリングを設けたフェアリング付き矩形2-BOX断面,また,単体で優れたフラッター安定性を示す逆三角形断面及び変形菱形断面をそれぞれ並列または空間的に配置した逆三角形2-BOX断面,変形菱形2-BOX断面及び逆三角形4-BOX断面の5種である.それぞれの断面について,中央開口部に数種類の開口率(Open AirRatio,OARと略記)をもつ格子グレーチングを取り付けることができる.ここで,OAR=100%は中央部を開放した状態,OAR=0%は完全に閉塞した状態を示す.これらの断面に対して各種風洞実験を行い,フラッター安定性について考察した.以下に結果を述べる. ● 超長大橋梁の桁断面形状の選定に際し,適切な断面形状及びグレーチングの開口率を選択することで,分離箱桁形式断面によるフラッター安定化が有効であることを示した.特に,変形菱形2-BOX断面で開口率を40%とすると,二次元仮想系でのフラッター解析において平板空気力の約2倍のフラッター発現風速を示した.また,風向迎角に対する安全性が確保されることも明らかにした. ● OARに対する依存性は断面形状ごとに異なる.比較的鈍い断面形状に対応する非定常再付着型の断面形状においては,前縁で剥離した流れが開口部に達する為,開口部を通過する流れによって非定常圧力分布にレイノルズ数依存性が現れる.一方,定常再付着型の断面形状を選択すると,開口部上下面の圧力差による影響が支配的となりレイノルズ数依存性が小さくなる.
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