研究概要 |
本研究は3年がかりの第1年目のものであり、その研究実績は次のとおりである。 1)片振りと両振りにおけるき裂進展特性について 応力比の差異がき裂進展特性に及ぼす影響を検討した。片振り試験においては応力比0.4、0.2、0.0を使用し、両振り試験においては応力比-0.25、-0.5、-0.75を使用した。 実験結果としては(1)き裂開閉口点応力は、き裂駆動力に関与しき裂進展速度と密接な関係を持つ。(2)応力比RがR>0域ではRの増加に伴いき裂進展駆動力は増大するのでき裂進展速度は速くなる。(3)応力比R>0域でのき裂開閉口点は載荷重の中立応力と一致し、引張り側が全てき裂進展駆動力として働く。(4)き裂開閉口点/全振幅応力で整理すると、き裂開閉口点応力と応力比直線関係が得られた。 2)変動荷重による銅のき裂進展性について 実験項目は(1)供試体のマシンノッチ先端より1mm,3mm,5mm点に動的ひずみゲージを貼付し応力-ひずみ曲線より変動荷重下によるき裂開閉口応力を求め、クラックメーターを併用し、高レベル荷重時と低レベル荷重時での実時間におけるき裂進展の挙動を調べた。また、マイクロハイスコープを使用し動的観察をすることにより、高レベル荷重時と低レベル荷重時のき裂進展挙動を観察できた。最後に、変動荷重と一定荷重下におけるき裂長さとき裂速度との差異を検討した。 二段階変動荷重疲労実験により、き裂開閉口応力は二段階荷重条件下では一定荷重の応力比R=0の場合とほぼ同じ値をとることがわかった。実際の構造物での複雑な荷重状態での一定振幅、繰り返し荷重疲労試験に比べ、き裂進展挙動は高レベル側の応力に優先的に支配されることを明らかにした。
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